『こんなちっちゃな商品を引っ掛けるディスプレイって出来ますか?』
そんな相談があったのは、確か工事が終わってオープン数週間前だったと記憶しています。
聞くと、子供達のために親指くらいのサイズの小さなの焼き菓子を1つずつ袋に入れて、100円前後で販売すると。
通常の焼き菓子だとアクリルケースか箱詰めか、もしくはカゴか、そんな見せ方ばかり。
小さな焼き菓子をかわいく見せるディスプレイがあれば、確かに素敵だなぁと感じました。
今思うと、このやりとりがお店の世界観やオーナーが実現したいことが凝縮された瞬間だったのかもしれません。
<思いついたのはアパレルショップでの陳列方法>
実は、この段階でケーキ屋さんの設計経験はたったの2件目。
それまで100件以上の店舗デザインを経験してきましたが、物販店やアパレルショップが多かったのです。しかし、そんな経験がケーキ屋さんの”当たり前”じゃない提案につながりました。
それは、今までデザインしてきた服屋さんで使ってきた『靴下用のフック』でした。

これまで自分たちの中では当たり前に提案してきたパーツなのですが、ケーキ屋さんで使うということが非常に珍しく、それをブログに掲載したところかなり反響がありました。

それが実現するために、事前にパーツを仕込んでいたのも成功の要因!

オリジナルのディスプレイが、そのお店の『やりたいこと』、そして世界観をも表現する。
そんなお話。